「退任」「辞任」「解任」の使い分け。誤解・誤用は防ぎたい

雑感

日本語に限ったことではないのでしょうけど、「似ているようで違う」意味の言葉は多いです。

最近サッカーやNBA等のスポーツで監督・ヘッドコーチが辞めるニュースが多いですが、そこに出てくる「退任」「辞任」「解任」は意味するところが違うので、誤解や勘違いをしないようにしたいところです。

万が一使う側(メディア等)が誤って使っていたら、誤解は避けられないですが(笑)。

 

 

「解任」はハッキリ違う

この3つのうち、「解任」だけは意味が明らかに違うことをご存知の人は多いでしょう。

「解任」はイコール「クビ」です。
本人の意思に関係なく辞めさせられることです。他の2つとはハッキリと意味が違います。

組織から「出ていけ」と言われているようなもので、自分が何らかの職務や任務を任せられた場合にはそうならないようにしたいものです。

 

「退任」と「辞任」は似ている

「退任」と「辞任」は、「辞めさせられる」ような意味合いではない点が似ています。

「退任」は自発的に任務を退くという意味であり、任期や契約期間の満了をもって退く時に用いられます。

一方の「辞任」は、自分の意思で辞めることを意味します。任期や契約満了の場合には用いられず、任期の途中や契約期間中に辞める場合に用いられるのがこっちです。

この違いから、個人的には「辞任」よりも「退任」の方がちょっとポジティブな印象があります。
背景を知ったら印象が変わることもありますが。

 

「辞任」なのか「解任」なのか分からないこともある

3つそれぞれ意味合いが異なるのですが、時々「これは実際どっちなの?」と思うニュースもよく見かけます。

とあるチームの監督が辞めるというニュースですが、あるメディアでは「辞任」を用いていて、別のあるメディアでは「解任」を用いている、みたいなやつ。

 

背景を理解しないと、どっちなのかよく分かりません。

「事実上の解任」みたいな、形式上は「辞任」という形をとっているけれど、チーム側から解任通告されて辞表を出した、というようなケースもありうるでしょう。

それとは違って、監督とチーム側がケンカして、監督が「もういい!やめてやる!」と言い、チーム側も怒って「お前なんかクビだ!出て行け!」なんてこともありうるでしょうし…(あまりないかな?)。

混同しないようにしたいですが、難しいですね。使う側の使い方も。

 

直近だとバルセロナ?

直近では、FCバルセロナのキケ・セティエン監督が「解任」されて、ロナルド・クーマン新監督が就任したケース。

早くもクーマン監督に辞めてほしいとの声もあるようですが(私の口からもその声が (^^))、ここで「クーマン辞任しろ」と言うと、チームに対してではなくクーマン本人に求めていることになります。

多分ですが、クーマンは「辞任」することはないでしょう。やる気マンマンそうですから(苦笑)。

この場合は、チームに「クーマンを解任してくれ」と求めることになるのだろうと思います。
バルトメウ会長は結果が出ない限り動かないでしょうけど…。

 

で、バルトメウ会長に対しては「辞任してくれ」も「解任してくれ」もありうるかと。
バルトメウ会長本人に自分の意思で辞めるように求める場合もあるでしょうし、クラブ(ソシオ(※))に「会長を替えてくれ」と求めることもあるでしょう。

(※)「ソシオ」=FCバルセロナのクラブ会員のこと。株式会社で言えば株主みたいな地位・位置づけ。

こっちはどうなるのでしょう?
会長本人が「辞任」する気がなければ、クラブ(ソシオ)が「解任」するしかないでしょうね。

 

 

書いた人

ダイ
ダイ
スポーツを見るのも好きなトレーニングジャンキー。サブ3.5を目指す(あと2分ちょっと…)自称中級市民ランナー。
見る方では、海外サッカー、マラソン、トライアスロン、格闘技全般、NBA、ラグビーが主な守備範囲。テニスもMLBも陸上競技も好き。
公認会計士 税理士
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