「それだけ変えればいいってわけじゃないよな」と思った話

学び,会計士

たまには会計士っぽいことでも書こうかと(笑)。

先日、とある方と話をしていたら「のれん」の話になり、ひとしきり考えさせられました。
(どういう流れで「のれん」に行き着いたのかは忘れました…(^^;))

「のれんとは何ぞや」については割愛しますが、そこで話になったのは「のれん」に対する日本基準とIFRSとの会計基準の違い。
考え方の違いだし、一概にどっちが正しいとは言えない話だけに難しいよねぇっていう感じでした。

 

で、その後ふと

「でも会計基準だけを国際化すりゃいいってもんでもないかもなぁ」

なんて考えました。

 

 

ダークサイドな視点で考えてみた

「のれん」の日本基準とIFRSとのルール差については、ググればたくさん出てきますが、ざっくり言えばこんな感じかと。

日本基準…20年以内の期間で規則的な償却を行う。のれんの価値が著しく下落していれば、減損の対象になる。

IFRS…償却不要。そのかわり毎年減損テストを行い、その結果によっては減損が必要。

 

IFRSだと、当面(減損が必要になる時まで)は計上時の金額のままとなります。計上してすぐには費用や損失は発生しない、ということです。
そして、減損処理は多くの場合ドスンと多額になるので、損益に与えるインパクトが大きいです。

昨今、会計基準を日本基準からIFRSに移行している上場会社が多いです。
国際的な基準に合わせることで、

・投資家への開示情報として、より有用
・海外同業他社との比較がしやすい
・グループ会社間で会計処理の統一化がしやすい
・グループ会社間の業績比較がしやすい

といったメリットがあり、これに対しては何の異論もありませんが、ダークサイドな経営者的目線で見てみたら、

「もし自分が大型買収をして多額の「のれん」が計上されても、減損が必要になるのは、自分がリタイアして後任が引き継いだ時になるかも」

っていう考えも持つかもなぁ、なんて思いました。

買収という「爪跡」を残して円満リタイアして、その後の減損という「尻ぬぐい」は将来の後継者に任せちゃおうっていう。
在職時に役員報酬を、退任時に役員退職金をしっかりもらって、後になって「あの時の買収は何だったんだ…」っていう経営責任問題が起こっても…って。

極悪な見方です(苦笑)。

 

セット導入は?

欧米では「クローバック条項」というものを導入している企業が多いようです。

クローバック条項とは、損失が発生したり不正が発覚した場合に、経営陣から在任中の報酬を強制的に取り戻す条項のことを言います。
「後になって粉飾や不正や経営上の失敗が発覚して会社に損失が発生したら、当時の役員報酬等は返してもらうよ」というものです。

「IFRSに移行してから大型買収している会社は、セットで必要なんじゃない?」と、ふと思ったのです。
これに該当する会社に限った話ではなく、大企業の粉飾決算や不祥事が多い昨今、普通にあってもいいんじゃないかなと思う条項です。

実際、日本企業でも導入している会社があるみたいですし、外国人株主から導入を提案されている会社もあるようですが(最近新聞で見かけました)、「そりゃそうだよな」と思います。

 

何かを変える場合、必ずしも「それだけ変えればいい」ってことではなく、関連する他のコト・モノも変えることを考えないといけないよな

と思いました。

そう思うと、「アレも変えなきゃ」「コレはどうだろう?」っていうのがどんどん出てくるかも(苦笑)。

 

書いた人

ダイ
ダイ
スポーツを見るのも好きなトレーニングジャンキー。サブ3.5を目指す(あと2分ちょっと…)自称中級市民ランナー。
見る方では、海外サッカー、マラソン、トライアスロン、格闘技全般、NBA、ラグビーが主な守備範囲。テニスもMLBも陸上競技も好き。
公認会計士 税理士
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