「サッカー界のHuman Highlight Film」の引退

サッカー

ホナウジーニョ(Ronaldinho)が引退を発表したそうです。

毎試合、何度も「スゲー!」「うわー!」と妙技で魅せてくれた数少ない選手だっただけに、最近露出が少なかったけれど「引退」と聞いて残念です。

 

 

メディアにも「惜しまれながらの引退」と書かれているけど、「そりゃ惜しまれるよなぁ」と思います。

「惜しまれない引退」をした選手って、いたかなぁ?(笑)

 

2つのスキルが印象的

ホナウジーニョのボールコントロールの上手さは、歴代でもトップクラスだったと思うし、メディアで「魔術師」と書かれているのも納得です。

ただ、ボールコントロールの上手さなら、他にも多くの選手が記憶に残っているでしょう。
ペレ、リベリーノ、クライフ、プラティニ、ジーコ、マラドーナ、R・バッジョ、ジダン…………挙げたらキリがありません(苦笑)。

 

ホナウジーニョの場合、個人的には以下の2つのスキルが印象的です。

 

史上最高のエラシコの使い手

エラシコは、ホナウジーニョの前にもホナウドがやっていたし、更にその前の世代のブラジル人選手もやっていて、今も少数の上手い選手がたまに使う、ブラジルの伝統的(?)高難度スキルの一つです。

 

でも、ホナウジーニョほど対峙する相手や場面に関係なく見事に出来た選手はいなかった(今もいない)のでは?

相手DFが誰であっても、スピードを殺すことなく一発で抜き去る点では史上最高だと思っています。

相手DFが「エラシコ来るんじゃないか?」と思っていても止められなかった、というのは多かったことでしょう。
モーションが大きく、スピードもあって、ボールもしっかりコントロールされていて、見ていても

 

「ありゃしょうがない」

 

と何度も思ったものです(笑)。

 

10年ぐらい前にフットサルで真似してみましたが、全然できませんでした(苦笑)。
エラシコ「のように」やってみても、フェイントは小さいし、ボールは離れてしまうという……。

ちょっとやそっとで出来るプレーじゃないことを、身をもって経験したものです(笑)。

 

ノールックパスのパイオニア

ノールックパスと言えば、元々はバスケのプレーです。

ボールを手で扱う競技であれば、バスケに限らずドッジボールでもラグビーでもできるでしょう。

でも、サッカーの場合、足でボールを扱うし、ボールから目を離すとミスキックをするリスクが少なからずあります。
だから、今でもサッカーでノールックパスはなかなかできるものではありません。

(今ガンガンやっている選手って、誰かいるかなぁ?)

 

そんなノールックパスを最初にガンガンやったのがホナウジーニョだったかと。

たま~にやる選手は数多くいます。今もいます。
でも、毎試合のようにやる選手って、未だにホナウジーニョ一人だけでは?

 

将来、ホナウジーニョ以上に上手くノールックパスを使いこなす選手が出てくるかもしれませんが、「ノールックパスを最初に使いこなしたサッカー選手」と言えば、やっぱりホナウジーニョでしょう。

 

「Human Highlight Film」という異名がよく似合う

80~90年代に活躍したNBAの元選手で、ドミニク・ウィルキンスという選手がいました。

ダンクコンテストでも、試合中でも、ものすごいダンクをしまくっていました。

 

ついた異名は、「Human Highlight Film」。

 

直訳すると、「人間ハイライト映像」(笑)。
試合のハイライトシーンに、必ずウィルキンスの凄いダンクが含まれていたことからついた異名です。

 

ホナウジーニョに異名(肩書き?)をつけるなら、個人的にこれが一番しっくりきます。

PSG時代も、バルサ時代も、ミラン時代も、試合のハイライトでは必ず1度以上はホナウジーニョのプレーが登場したものです。

それも凄い足技の(笑)。

 

なので、ホナウジーニョのことは「サッカー界のHuman Highlight Film」として記憶しようかと。

 

たった一人だったかも

もう一つ。

歴代サッカー選手の中で、「哀愁」を感じさせなかったのはホナウジーニョ一人だけだったかも。

 

スーパースターだった選手は、必ずといっていいほど、何というか「哀愁」を感じさせていました。
ペレも、ベッケンバウアーも、クライフも、ジーコも、プラティニも、マラドーナも、ファンバステンも、バレージも、R・バッジョも、ジダンも、マルディーニも、デルピエロも、ホマーリオも、ヒバウドも、ホナウドも。

調子が悪いときの必死さとか、ケガに苦しんでいるときの辛そうな表情とか、サポーターからブーイングを浴びているときの後姿などに「哀愁」を感じたものです。

 

でも、ホナウジーニョだけはそんな「哀愁」とは無縁だったような。
いつも楽しそうにプレーして観客を沸かせていたなぁと感じます。

勝っていても、負けていても、必死にボールを追いかけていても、どこか楽しそうというか。

 

そんなところもあって、「プレーを見ていて楽しめる」選手だったのだと思っています。

 

37歳の引退。

「早い」とか「もう少し節制していれば…」というコメントも見ましたけど、「哀愁」が似合わない選手だったから、自身のタイミングでの引退で良かったんじゃないかな、と思っています。

 

 

書いていたら、ホナウジーニョのプレーを見たくなったので、週末はハイライト映像をいくつか見ることにします(笑)。

 

 

書いた人

ダイ
ダイ
スポーツを見るのも好きなトレーニングジャンキー。サブ3.5を目指す(あと2分ちょっと…)自称中級市民ランナー。
見る方では、海外サッカー、マラソン、トライアスロン、格闘技全般、NBA、ラグビーが主な守備範囲。テニスもMLBも陸上競技も好き。
公認会計士 税理士
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