リアルタイムでとんでもないボクサーが3人もいることが改めてわかった①
9月14日(日本時間)に行われたボクシング2試合は、期待に違わぬ素晴らしい試合でした。
両試合とも判定決着でしたが、最高にスリリングで面白い試合でした。
ここではまず、アメリカで行われた試合について書きます(長くなるので日本での試合は後日)。
歴史的快挙!
日本時間の午後に行われたサウル・"カネロ"・アルバレス vs テレンス・クロフォードは、クロフォードが文句なしの判定3-0で勝利し、3階級目の四団体統一王者となりました(スーパーライト級、ウェルター級、そして今回のスーパーミドル級)。
3階級で四団体統一王者になること自体が史上初の偉業ですが、階級を通り越してスーパーミドル級に挑戦して、チャンピオンのカネロに勝利したというのがとんでもないことです。
ウェルター級の統一後、スーパーウェルター級で去年1試合やってWBAのチャンピオンにもなっているのですが、まだたったの1試合しかやっていません。
それでミドル級を通り越してスーパーミドル級で挑戦したというのがもう…。
挑戦するだけならまだしも、相手はそのスーパーミドル級で無双状態のカネロです。
普通に考えると「無謀」という言葉しか出てきません…。
私は戦前クロフォードを応援しつつも、心のどこかで
「相手が体格差のあるカネロだと、さすがにやられちゃうかも…」
と思っていました。
カネロのプレッシャーは尋常ではなく、過去の対戦相手の大半もことごとく捕まった感じでした。
なので、「クロフォードも捕まってしまうのか、それとも上手くかわして応戦するのか?」というのが注目ポイントでした。
実際、試合も予想通りカネロがガンガン前に出てプレッシャーをかけていました。
開始数ラウンドはクロフォードもサークリングをしながら隙を伺う感じでした。
しかし、ただ逃げる・よけるだけではなく、カネロの攻撃が雑になったときには反撃で細かいコンビネーションを当てるなどして徐々に主導権を握るようになりました。
カネロは一度もダウンをしたことがないし、ドミトリー・ビボルやゲンナジー・ゴロフキンと対戦しても倒れなかったぐらいなので、クロフォードのKO勝利は難しい……いや、できないだろうとは思っていました。
しかし、ラウンドが進むにつれてクロフォードの攻撃が当たるようになってからは、「いけ~!!」と心で応援しながら見ていました。
今回は試合に集中するあまり、ラウンド毎にしっかり採点はしなかったのですが、12ラウンド終了時の私の採点は117-111でクロフォードでした(=9ラウンドをクロフォードが獲って、3ラウンドをカネロが獲った)。
「完勝」と言える内容だったと思います。クロフォードがグラついたりピンチになる場面はなかったし(カネロもほとんどなかったけど)、手数も有効打もヒット率もクロフォードが上でした。
クロフォードは、今までもすごかったですが、今回はそれ以上の「過去最高」の戦いをしたと思いました。
体重をけっこう上げて身体が重くなっているはずなのに、そんなところは微塵も見せず、カネロよりよく動いて翻弄していました。
何がすごい?
階級差のあるチャンピオン同士の試合は過去にも行われてきましたが、たいていの試合は重い方の選手が本来の階級より少し軽い体重(キャッチウェイト)契約で行うなど、重い方の選手にも歩み寄りがある形で行われていました(例:デラホーヤ vs パッキャオ、メイウェザー vs カネロ)。
そのため、重い方の選手が減量苦があってコンディションが万全ではなかった、という言い訳ではないけれどハンディキャップのようなものも感じられる試合が多かったです。
でも、今回はそんな歩み寄りは一切なし。
純粋にクロフォードがカネロの所持するタイトルに挑戦する形で行われて、それで文句なしの判定で勝利したので文字通りの「大偉業」と言えます。
154lb(69.853kg)以下のスーパーウェルター級から一気に168lb(76.204kg)以下のスーパーミドル級に上げての試合でした。
「階級を上げる」というのも、数字に置き換えるといかにすごいかが分かるかと。
ただ体重を増やすというわけではなく、増やしながらも動きのキレやスピード、さらにスタミナも落とさないようにするわけで、素人が想像するよりもはるかにハードだと思います。
しかも、これでクロフォードは42戦全勝(31KO)。
マジで凄いです…(汗)。
クロフォードはこれからどうする?
勝利したクロフォードは今後どうするのでしょう?
スーパーミドル級には留まらないかなと思っています。
さすがに他の多くのスーパーミドル級ボクサーとは体格差があります。
(今回は比較的小柄なカネロだからできた、というのもあるかなと)
しかし、同時に本来のスーパーウェルター級に戻ることもないのでは? と思っています。
確実に減量が大変になるし、一旦上げた階級を元に戻したら悪い結果になってしまうケースも多く見られるからです(例:ヘビー級からライトヘビー級に戻したロイ・ジョーンズJr)。
なので私の予想は2パターン。
一つはこのまま引退。もう一つはミドル級タイトルに挑戦です。
年齢はもうすぐ38歳だし、「もうやりきった」とこのまま引退しても誰もケチをつけないと思います。それだけの強さをすでに証明しています。
他方、まだやり残したことがあるとするならば、「6階級制覇」ではないかと思うのです。
今回一つ飛ばして5階級目のチャンピオンになっています。
飛ばしたミドル級を獲ればデラホーヤ、パッキャオに次ぐ史上3人目の6階級制覇になります。
これが現実的かなと思っています。
今回は本当に興奮したし感動もしました。
決して「カネロが弱かった」のではなく、「強いカネロに勝った」というのが素晴らしかったです。
いずれにしても今後のクロフォードにも注目したいです。
書いた人

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スポーツを見るのも好きなトレーニングジャンキー。サブ3.5を目指す(あと2分ちょっと…)自称中級市民ランナー。
見る方では、海外サッカー、マラソン、トライアスロン、格闘技全般、NBA、ラグビーが主な守備範囲。テニスもMLBも陸上競技も好き。
公認会計士 税理士
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