神話を作ったアリは、神話の中で生き続ける
週末は、表向きでは家族と普通に過ごしつつ、心の中で喪失感がありました。
最近のニュースで健康状態が思わしくないことは理解していたものの、訃報を知った時の衝撃は大きかったです。
私にとってモハメド・アリは、「尊敬」や「憧れ」を超越した存在でしたので。
アリに尊敬し、憧れたきっかけ
伝説の「猪木 vs アリ」の試合は、私が生まれる前の話だったので、幼少期はアリのことは名前だけしか知りませんでした(「アリキック」が有名だったので)。
でも、高校生時代にレンタルビデオで見た映画『アリ・ザ・グレイテスト』でアリのカッコよさに魅せられるようになりました。
そして20歳を過ぎた頃に、『Muhammad Ali The Whole Story』というドキュメンタリーを見て(たしか当時WOWOWで放映していました)、アリを「ボクサー以上の存在」として見るようになりました。
「好きなスポーツ選手」、「尊敬するスポーツ選手」、「憧れのスポーツ選手」は何人もいますが、アリは特別でした。
「スーパーヒーロー」とか、(あまり使いたくないけど)「神」のような存在でした。
強さとかっこよさに加えて持っていた2つのもの
ボクシングでの戦績とファイトスタイルは素晴らしく、今ならYouTubeでいくらでも見られます。
実績にも惹かれたのですが、ボクシングと同じくらい、いや、それ以上の素晴らしさをリング外で見せていたことが、自分がアリに惹かれた理由でした。
名言の数々とアタマの回転の速さ
一つ目は、数々の名言・金言を生んだことです。
ドキュメンタリー映像を見ていて思うのは、アリはほとんどの名言を「前もって考えて用意していた」というよりも、「その場で思いついて言っていた」ということです。
ハンドスピードやステップワークといった手足の速さだけではなくアタマの回転もすごく速く、ボクシングだけでなく言葉でもカウンターを相手に浴びせていたような、そんな感じでした。
どんな場でも「F」で始まる4文字の言葉や「S」で始まる汚い言葉は使わず、いわゆる「ピー」音を入れる必要のない言葉で話していたのも印象的でした。
感情的になるような場面でも全然使っていなかったし、ものすごく分かりやすい英語で話していました。それだけに地頭の良さを随所に感じていました。
ヘビー級とは思えない軽やかなボクシングスタイルも好きだったけれど、リング外での華やかさや、アタマの回転の速さ、言葉のキレの良さも憧れを持ったきっかけでした。
考えを曲げず、毅然とした姿勢
もう一つは、考えやポリシーを曲げない一貫した姿勢です。
ベトナム戦争への徴兵(戦場では戦わず、軍人たちの士気を高めればいいという条件だったようですが)を拒否して、裁判にかけられチャンピオンをはく奪されて、さらにボクサーとしてのライセンスまで取り消されたのですが(後にライセンスは取り戻される)、それでも最後まで自身のスタンスは変えませんでした。
裁判での尋問中も、裁判官に尋ねられれば「Yes, sir」または「No, sir」と、必ずちゃんと「sir」をつけて即答して意見を話していたし、発言にもブレは全くありませんでした。
そのせいで、キャリアのピークと言える時期の数年間を棒に振ったのに、です。
ここまで出来る人って、そういないと思います。
名誉も資格も奪われかねない状況なのに「敢えて空気を読まなかった」、「自分の考えを貫いた」わけで、ハッキリとした口調で自分の考えや姿勢を話していた姿に、約20年前に感動したものでした。
今までもこれからも「尊敬」や「憧れ」を超越した存在
私がボクシングを見るようになったきっかけはマイク・タイソンでした。
でも、ボクシングをやってみようと思ったきっかけはモハメド・アリでした。
アリがいなくてもボクシングは好きだったと思いますが、アリがいたからボクシングをやるようになり、ボクシングの魅力も怖さも、見るだけよりもはるかに理解できるようになったと思います。
そして、アリがいたからこそスポーツ選手への尊敬や憧れが深まったのは間違いないです。
スポーツがめちゃめちゃ上手いというだけでなく、人間としても魅力的な選手が多いんだというのを知ったのは、やっぱりアリがきっかけだったと思います。
(未だにアリ以上の存在はいませんが)
この先、自分が死ぬまでの間に、モハメド・アリのような人は出てこないんじゃないかな、と思うくらいカッコいい人でした。
アリよりも強いボクサーは出てきているし、今後もたくさん現れれるのでしょうけど、
「The Greatest」
は、これからもずっとアリだけの形容詞だと思います。
アリの数ある語録の中に、
私は神話を作り、神話の中で生きる
というのがあります。
この言葉の通り、神話を作ったアリは、神話の中で生き続けると思います。
書いた人
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スポーツを見るのも好きなトレーニングジャンキー。サブ3.5を目指す(あと2分ちょっと…)自称中級市民ランナー。
見る方では、海外サッカー、マラソン、トライアスロン、格闘技全般、NBA、ラグビーが主な守備範囲。テニスもMLBも陸上競技も好き。
公認会計士 税理士
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