プロボクサーの五輪参戦には2つのリスクを感じる…

下記のニュース記事を見て知ったのですが、リオデジャネイロ五輪ではボクシングにプロの参戦も認められる見込みなのだそうです。

記事内容は、マイク・タイソンがそれに対して批判的なコメントをしているというものでした。

五輪=タイソン氏、ボクシングのプロ解禁を批判

(以下、引用)

ボクシングの元ヘビー級王者、マイク・タイソン氏は、8月のリオデジャネイロ五輪にプロボクサーが出場できることになったことは「馬鹿げている」と批判した。

自身も1981年と82年にジュニア五輪でアマチュアとして金メダルを獲得しているタイソン氏は、「プロの中にはアマチュアに負ける選手が出てくる」と指摘。3、4ラウンドで行われるルールに慣れていないプロはアマチュアのスピードについていけないとし、自身が体験した80年代と同じなら「チャンピオンも負ける」と話した。

国際アマチュアボクシング連盟(AIBA)は6月の規約改定が認められれば、プロが五輪に出られるようになる見込みだと発表している。

さらに興味深かったのは、ボクシング界の超大物プロモーターであるボブ・アラムさんが、タイソンとは全く別の理由で批判的だったことでした。

大物プロモーター、プロボクサーの五輪出場は「狂気の沙汰」

(以下、引用)

ボクシングの大物プロモーター、ボブ・アラム氏は、数か月後に開幕するリオデジャネイロ五輪で、プロボクサーの出場を認めるとする提案を「狂気の沙汰」と批判した。

モハメド・アリを皮切りに、半世紀にわたって、マニー・パッキャオらスター選手の試合を手がけてきた84歳のアラム氏は、国際ボクシング協会の提案が承認されれば、アマチュアボクサーは大けがをするだろうと忠告している。

香港でAFPの取材に応じたアラム氏は、「プロとして経験豊富な選手たちとアマチュアを戦わせたら、本当に、冗談じゃないくらいの大けがにつながる。これは狂気の沙汰だ」と声を荒らげた。

「プロがアマに負けるから」と「プロがアマを壊してしまうから」。

批判的なところは共通していても、その理由が対照的だったので、ちょっと自分も考えてみました。

ルール適応が大変

まず、プロとアマではルールが違うので、「アマ→プロ」と同様に「プロ→アマ」でもルールへの適応が大変です。

ラウンド数の違い

1試合のラウンド数は、プロがデビュー時は4R、世界タイトルマッチになれば12Rになるのに対して、アマは3Rのみです。

よって、アマルールではプロのように「最初は相手の様子や出方を見て……」なんていうわけにはいかず、試合が始まった瞬間からトップギアで攻めていかないといけません。

採点方法

プロでは有効打の数だけではなく、ダメージの程度も採点に大きな影響を与えますが、アマでは有効打はどれだけ強烈でも軽くても「1つ」としてのカウントで、有効打の数の大小によって競われます。

また、プロではラウンド毎に「10-9」等の採点をする(その合計点で判定される)のに対し、アマでは3ラウンドを通じた有効打の数で判定されます。

他にも違いはありますが、上記の2つだけでも試合運びが全然変わってくるんじゃないかと感じます。

タイソンのコメントに説得力を感じる

上記のタイソンとアラムのコメントは、両方ともありえると思います。

アラムさんの言うように、プロはやっぱりプロだし、「相手を倒すこと」が最大の魅力でもあるので、「当てること」以上に「相手へのダメージを大きくすること」に重きが置かれたトレーニングをしているでしょう。なので、アマチュアボクサーにズドンと強烈な一撃を浴びせてしまう可能性はあります(テンプルとかアゴに)

でも、それ以上にタイソンの言う「3、4ラウンドで行われるルールに慣れていないプロはアマチュアのスピードについていけない」の方が、可能性として高いかな、と思います。

プロボクサーには、1Rから全力ダッシュのようにガンガン飛ばす選手はなかなかいないので、普段(のプロの試合)と同じ感覚で試合をしたら「あれれ?」という間に相手にポイント(有効打)を奪われてしまう可能性があります。効かないパンチでもジャッジに「有効打」と認められればポイントになるので(効く・効かないの問題ではないので)、感覚の違いもありそうです。

それに、プロボクサーは舐めてかかるんじゃないかというのもあります……

でも、何よりタイソンのような凄いボクサーのコメントなので、説得力の違いをすごく感じます(笑)

プロが出るのなら覚悟が必要かも

プロ選手が五輪に出るのは、個人的にどうかなぁと思います。
これはタイソンやアラムさんと同じです。

ルールが違うので、プロボクサーが一度「アマ仕様」になって再度プロに戻った時に、ファイトスタイルに影響しないといいのですが……

そういう意味でも、プロボクサーはリスクが高いと思います。

「負けるリスク」と「しょっぱくなるリスク」(苦笑)

もしかしたら、タイソンはプロボクサーが五輪に参戦する(アマチュア回帰する)ことで、プロボクシングの魅力も減ってしまうことを危惧しているのかも、とも思ったり。

軽い気持ちで考えてみたけど、けっこう深いなぁと感じます。

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ダイ

ダイ

1975年1月生まれ。スポーツを見るのもやるのも学ぶのも大好きな41歳。サッカーではGKからFWまで全ポジションに対応(もちろんアマチュアレベル(笑))。ボクシングではディフェンス重視のアウトボクサー。フルマラソンはサブ4。東京マラソンに10年連続ハズレ中…BlackBerryとOAKLEYサングラスを愛用。 公認会計士 税理士