課徴金73億円の計算方法を確認してみた

T社(と伏せる必要はないかもしれないけど…)の粉飾決算にかかる課徴金の金額が73億7350万円になる模様です。

まだ本決定ではないものの、証券取引等監視委員会が、決定機関である金融庁に勧告をしたとのことで、概ねこの金額になるのかなと思われます。

そこで、

「なんでこの金額なんだろう?」

という素朴な疑問があったので調べてみました。

計算方法はこんな感じだった

「まず課徴金に関する規定を確認して、そこから金額を計算して…」

というのをイメージしていたのですが……

証券取引等監視委員会のページに計算式がバッチリ出ていました(笑)

簡単に整理すると、今回の粉飾決算は金融商品取引法上

  1. 重要な事項につき虚偽の記載があり、又は記載すべき重要な事項の記載が欠けている有価証券報告書等を提出したこと(金融商品取引法第172条の4第1項に反する行為)
  2. 重要な事項につき虚偽の記載があり、又は記載すべき重要な事項の記載が欠けている発行開示書類を提出し、当該発行開示書類に基づく募集又は売出しにより有価証券を取得させ、又は売り付けたとき(金融商品取引法第172条の2第1項に反する行為)

の2つに該当するようです。対象開示書類は、平成24年3月期、平成25年3月期の有価証券報告書だそうです(=遡及修正した有価証券報告書)

1の方の課徴金については、

「発行する株券等の市場価額の総額等の10万分の6又は600万円のいずれか大きい額」

となるそうで(ソースはこちら)、本件の場合、

平成24年3月期有価証券報告書にかかる課徴金が9227万円、
平成25年3月期有価証券報告書にかかる課徴金が8123万円

になるそうです。

2の方の課徴金は、

「重要な事項につき虚偽の記載がある発行開示書類に基づく募集により取得させた有価証券の発行価額の総額の100分の2.25に相当する額」

が課徴金の額になり、平成22年12月~平成25年12月の間に発行した社債券額をベースに計算。その結果、総額で72億円になったようです。

この1と2の合計額が、

9227万円+8123万円+72億円=73億7350万円

ということでした。

意外だったこと

会社も平成27年3月期に課徴金にかかる引当金として84億円を計上していたようで、「まあ、このぐらいだろうね」という察しがついていたのでしょう。

この金額を見て高いと思うか安いと思うかは人それぞれかもしれませんが、意外な気づきがありました。

課徴金って、意図的な虚偽記載でも意図的でない虚偽記載でも金額そのものは同じなんですね。つまり、「わざとやったものも、そうでなくて誤ってしまったものも、課徴金自体は同じ」ということのようで。

税金だと、隠ぺいや仮装があった場合には重加算税がプラスして課され、その額は申告漏れ税額の35%と文字通り「重い」ですが、金融商品取引法上は悪質な場合の重いペナルティというのは特に設けていないようです。

直接の被害者は虚偽の有価証券報告書をもとに株式や社債を取得した株主や債権者なんだから、必要があればその人たちが会社に損害賠償を起こせばいい、ということなのでしょうか。株や債券を持っていなければ直接の損害はないですからね…

The following two tabs change content below.
ダイ

ダイ

1975年1月生まれ。スポーツを見るのもやるのも大好きな41歳。サッカーではGKからFWまで全ポジションに対応(もちろんアマチュアレベルで(笑))。ボクシングではディフェンス重視のアウトボクサー。フルマラソンはサブ4。東京マラソン10年連続ハズレ中…BlackBerryとOAKLEYサングラスを愛用。 公認会計士 税理士

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする