UFCヘビー級タイトルマッチ「ヴェラスケス vs ヴェウドゥム」を冷静に振り返ってみた

昨日のUFC188でのヘビー級タイトルマッチ、ケイン・ヴェラスケス vs ファブリシオ・ヴェウドゥムは、感情的にはただただ「うれしい」でした。

アブダビ・コンバットを含めて10年以上注目していた選手で、その間に「不遇の時期」というか、MMAでの飛躍的な成長がなかなかできなかった時期があり(ネットでは「ファブリ塩」とも呼ばれていた…)、年齢も既に37歳になっていたので、「このまま引退なのかなぁ」とも思っていたからです。

何より、10年前に一度ツーショット写真を撮らせてもらい(写真が行方不明…)、ガッチリ握手もしてくれて、とてもいい人だったので(笑)
前にこんなことも書いていました。

ヒョードル、ノゲイラからギブアップを奪った男、ファブリシオ・ヴェウドゥム。捲土重来なるか?
こないだの週末は、ホプキンスの49歳での王座統一で一人盛り上がりましたが、もう一つUFCでグッドニュースがありました。 私が個人的に応......

ただ、そんな「うれしい」「よかった」といった感情的なものを排除して、試合自体を見て自分なりに気付いたことを書いて「何がこの結果につながったのか」を振り返ってみようかと。

ヴェラスケスは打撃戦での短期決着を狙っていた

1R序盤のパンチの打ち合いから、すぐに

「あ、ヴェラスケスはもう勝負つけようとしてしている」

と思いました。
ヴェウドゥムの反撃のパンチに対するガードを捨ててひたすらパンチを放っていたからです。

打撃戦、特にパンチでは自身にアドバンテージがあるので、作戦も開始早々から「打つべし、打つべし、打つべし!」だったのでしょう。

これは妥当かなぁと思いました。以下の理由です。

  1. 会場がメキシコシティの標高が高いところにあったので、スタミナ切れが心配だった
  2. 長期戦になって後半にグラウンドに引き込まれるとヤバい
  3. スタンドでのパンチ勝負なら負けない自信があった
  4. ヴェウドゥムは長期戦に持ち込もうとしているだろうと予想していた

いつものように猛烈な勢いで仕留めにかかったものの、

  • クリーンヒットできなかった
  • ヴェウドゥムが意外と打たれ強かった
  • おまけにヴェウドゥムがけっこう応戦した

という意外なことがあって、思うように運べていないのが最初の3分で見て取れました。

ヴェウドゥムの打撃が強くなっていた

ヴェラスケスが攻めあぐねていたポイントはズバリこれでしょう。

ヴェウドゥムは手足のリーチ差を利用してストレート系のパンチを出して、距離が近いとすぐに組み付いて首相撲からのヒザ蹴りを狙っていました。ヴェラスケスはガードを捨てて前進していたけれど、けっこうヴェウドゥムのパンチをもらってしまっていました。

ヴェウドゥムがあそこまで打撃で応戦できたのは予想外でした。去年のマーク・ハント戦で「おっ!」と思わせる打撃を見せていたものの、それまでのヴェウドゥムのスタンドはお世辞にも巧そうにも強そうにも見えませんでした。打撃の強い相手だとすぐに寝てグラウンドに持ち込もうとしていましたし。

ヴェラスケスと打ち合えるほど強くなったのは、ハファエル・コルデイロさんの指導の賜物かなあと感じました。持味の手足の長さを生かしたストレートと首相撲&ヒザがしっかり出せていました。一発で仕留められなくてもダメージを与えているのは確実で、昨日のヴェラスケスも徐々に効かされていた印象でした。

1Rのカットが勝敗の分かれ目だった(と思う)

勝敗の分かれ目は1Rでヴェラスケスが左目上をカットしたことだと思いました。
2R以降にヴェウドゥムのパンチをもらう場面が多くなりましたが、あれはカット&流血で視界が悪くなったことが原因だろうなと。

高地での試合だったので、既にスタミナの消耗もあったはずですが、それ以上に視界の悪さが影響していたように思いました。ジュニオール・ドス・サントスが相手ならもう少し慎重に攻撃していたでしょうけど、ヴェウドゥム相手に1Rで苦戦していたので焦りもあったのかなぁと。積極的に前に出ていたけど、不用意にパンチをもらっていました。これの蓄積がフィニッシュのミスにつながったのかなあと思っています。

フィニッシュシーンはヴェラスケスのミス

3Rのフィニッシュは、完全にヴェラスケスのミスでしたね。
ヒザや左右のストレートをもらって焦りが出ていたのでしょうけど、最後の苦し紛れのタックルは「どうぞギロチン極めてください」と言っているかのようなタックルの入り方でした。

あの状況だと脱出不可能でしょう。やっちゃいけないことをやってしまったように見えました。

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まだ不安定なヘビー級

正直、ヴェラスケスが打撃で圧倒しちゃうのかなぁと予想していたのですが、意外な(うれしい)結果でした。

これで「ヒョードル、ノゲイラ、ヴェラスケスからタップを奪った男」という称号を持つことになるし、PRIDE時代にアリスター・オーフレイムやエメリヤーエンコ・アレキサンダーのような化け物みたいな大型選手からもタップを奪ったことも踏まえれば、「リアル・モンスターハンター」と呼んでもおかしくないような(笑)

ただ、ヘビー級はヴェウドゥムの長期政権にはならないようにも思います。以前KO負けした相手、ジュニオール・ドス・サントスが次に挑戦するでしょうし、「かつての雇い主」ミルコ・クロコップも挑戦したくなってきたことでしょう(笑)

少し勢力図が不安定なところがヘビー級は面白いです。

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ダイ

ダイ

1975年1月生まれ。スポーツを見るのもやるのも大好きな41歳。サッカーではGKからFWまで全ポジションに対応(もちろんアマチュアレベルで(笑))。ボクシングではディフェンス重視のアウトボクサー。フルマラソンはサブ4。東京マラソン10年連続ハズレ中…BlackBerryとOAKLEYサングラスを愛用。 公認会計士 税理士