PK失敗の連鎖は脳の動きが影響?それだけ?

一昨日こんな記事を見て、しばし考えてみました。

PKの失敗、なぜ伝染する? 他人の動き無意識に予測、失敗も伝染

PK失敗が連鎖するのは、前の失敗を見ることによる脳の動きに原因があるとする見解のようでした。先に失敗したのを見て脳が反応して、後続の選手に影響を与えてしまう、ということのようです。

たしかにPK戦では、誰かが先に失敗すると、後続の選手も連鎖反応的に失敗することがよくあります。先に失敗する「誰か」が、敵・味方に関係なく。

しかし、自分の経験からすると、決してそれだけでは説明できないのでは?、と思っています。

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PK失敗の要因

PKを失敗する要因としては、大きく以下の4点が挙げられるでしょう。

  1. プレッシャーによるミス
  2. 気の緩みによるミス
  3. 疲労・ケガの影響による失敗
  4. GKの好セーブ

上記のうち、脳への(心理的な)影響が絡んでくるのは1と2です。
3はどうしようもないですし、4は相手GKを称賛すべきものです。

そして1と2については、こんな風に思います。

「脳の動き」ってこんなことを言うのかな

まず前提として、PK戦ではキッカー全員が相当なプレッシャーを感じます。
当たり前です。自分の1本のキックでチームの勝敗が決まる可能性があるからです。

PK戦では、相手チームが失敗すると、次のキッカーは「失敗しなければいい」という心理状態になり、味方選手が失敗すると、「もう失敗できない」という心理状態になる傾向にあります。この違いは大きいです。

記事で言う「脳の動き」は、両方ともそうなんだろうなと思っています。

「失敗しなければいい」になると、キッカーはコースが甘くなる傾向にあります。
94年W杯決勝のマルシオ・サントス(ブラジル)が良い例です。フランコ・バレージ(イタリア)が先に失敗したのを受けてコースが甘くなり、イタリアGKパリュウカに見事に止められました。蹴り方も、私でもコースが読めたぐらい素直すぎるキックでした。
「コースを突かないと」という気持ちよりも「枠から外さなければいいだろう」という方が強くなるのでしょう。

反対に「もう失敗できない」になると、後続キッカーはコースを突く・思い切りよく蹴る傾向にあります。コースを突くか、それとも思い切り蹴るかは人それぞれですが、多かれ少なかれ冷静さを失ってしまっているということです。

ただ、このケースは前に失敗があった時だけでなく、成功が続いている時にもよくあります。「オレが失敗したらヤバい…」となってしまうからです。

先に誰かが失敗しても「連鎖」しないキッカーは、「オレには関係ない」というマインドなのでしょう。私も一応そんな感じでした(笑)。

PK失敗は「下手な人のプレーを見たら、熟練者も・・・」と同じことなのか?

記事では、「下手な人のプレーを見たら、熟練者も下手になった」ということを、PK失敗の連鎖にあてはめているようですが、果たしてそうでしょうか?

PK戦では、基本的にPKが上手い選手が蹴ります。順番の違いはありますが、少なくとも最初の5人はその時の「ベスト5」です。「下手な人の失敗を見て…」というのとはちょっと違うのでは、と思います。

R・バッジョのPK失敗は別問題なのでは?

また、記事では94年W杯決勝のロベルト・バッジョの失敗を例に挙げていますが、

「これは違うんじゃないの?」

と思います。

あの試合、バッジョは既にボロボロでした。大会期間中、脚のケガも十分に回復しておらず、1点差勝負の激戦が続いた後の最後の決勝戦。しかも、真夏の真っ昼間のスタンフォード・スタジアムでの試合で、暑さもハンパではなく、体力面で限界に達していました。
実際、試合終盤の絶好のチャンスでも、バッジョは真正面のゴロのシュートしか打てませんでしたし、延長戦後半には足をつっていました。

PK戦は、延長戦を含む120分間の試合を終えてから行われます。

バレージもそうでしたが、バッジョもまた普段通りにPKを蹴る余力が残っていなかったのでしょう。「狙った方向に思い切り蹴る」ぐらいのことしかできなかったはずです。そもそもキックをコントロールできなかったということです。

あの失敗に関して、上記3の要因をスルーすることはできないと思います。バッジョのあの失敗は上記3によるところが大きく、ダニエレ・マッサーロの失敗はほとんど関係なかったと見ています。

(それにしてもマッサーロを「マッサロ」と表記するのはどうなんでしょう?マッサーロはJリーグでもプレーしていたのに……)

まとめ

PK失敗の連鎖は、もっと複雑な要因が絡んでいると思います。PKそのものは1人当たり1分ほどで終わってしまいますが、そこにはいろいろな伏線があるはずです。脳(心理)への影響もありますし、体力的なものもありますし、GKの良し悪しもあります。

どの失敗がどういう要因なのかは一概に脳の動きが原因とは言えず、ケースバイケースなんじゃないかな、と思います。

ところで、昨日日本代表がそのPK戦で負けたそうですね。
試合を全く見ていないので何とも言えませんが、120分間、つまりPK戦以前に決着がつけられなかったところに敗因があるのでしょう。
アジアカップのベスト8ですからね…
どこを目指していたんでしたっけ?

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ダイ

ダイ

1975年1月生まれ。スポーツを見るのもやるのも大好きな41歳。サッカーではGKからFWまで全ポジションに対応(もちろんアマチュアレベルで(笑))。ボクシングではディフェンス重視のアウトボクサー。フルマラソンはサブ4。東京マラソン10年連続ハズレ中…BlackBerryとOAKLEYサングラスを愛用。 公認会計士 税理士

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