親会社にとってのプロ球団運営コストとアレの会計処理

正月のことです。
日本人のMLB選手が日本の球団に復帰することに関連したコラムに目を通していた時に、職業柄か(?)以下の記述に注目してしまいました。

NPBでは球団経営の赤字分を親会社の広告宣伝費として経費計上できるため(1954年の国税庁通達)、親会社に体力があればチームの赤字はそれほど痛いものではありません

この通達の概要は、こんな感じでした。

    1. 親会社が球団に支出した金銭のうち広告宣伝費と認められるものは、損金算入できる
    2. 球団の欠損金(税務上の赤字)を補填するために親会社が支出した金銭は、当分特に弊害のない限り広告宣伝費とする
    3. 親会社が球団に貸付金として処理しているものでも、上記2に該当するものは損金算入できる
    4. 親会社が球団に貸付金として処理しているものを、その後の事業年度において一部償却したときは、球団のその時の事業年度において生じた欠損金を限度として、当該償却金額を、その償却をした日を含む事業年度の損金に算入できる

この通達、まだ生きている(廃止されたものではない)ようで、通達の中でもかなりの「長生き」ではないかと(笑)。

ポイントはそこではなく、「この通達があるから、あの処理でも良いのかなぁ」というものがあって、ようやく点と点がつながりました。

まだ私が監査法人でペーペーだった頃のことです。
ちょうど某日本人選手が、ポスティング制度を活用してMLBの球団に移籍するという話がありました。

ポスティング制度は、フリーエージェントの選手ではなく特定の球団に所属している選手が対象の制度なので、獲得するMLBの球団は、選手が所属する球団(日本の球団)に「譲渡金」として、選手の交渉権の対価を支払います。

私が当時疑問に思ったのは、

「この譲渡金、どうやって会計処理するんだろう?」

ということでした。

考え方によって、

  • 売上処理する
  • 営業外収益または特別利益として処理する
  • 経費(販管費)のマイナスとして処理する

という3通りの処理方法が考えられます。
どれで処理をしても最終利益(当期純利益)には影響がありませんが、その前の各段階損益(売上総利益、営業利益、経常利益)には影響してきます。

しかも、その選手の譲渡金は数十億円と言われていました(その親会社にとっては、それほど強烈なインパクトではなかったようです。巨大企業なので…)。

当時、身近な同僚と話したりして出した結論は、3の「経費(広告宣伝費)のマイナス処理」でした。
売上はおかしいし(人身売買みたい。そもそも選手売買の目的で球団運営しているわけでもない)、営業外収益や特別損益とすると、費用(販管費で処理)との対応関係はどうなの?というのもあるので、「じゃあ3かな」という感じの消去法でした。

しかし、上記の通達があると説得力が増します。

球団の赤字補填のための支出は広告宣伝費で、所属選手の移籍に伴い「譲渡金」が入ってくると、その赤字補填のための広告宣伝費が軽減される。ならば広告宣伝費のマイナスなんじゃないか、ということです。
(球団が赤字だということが前提になるでしょうけど)

実際にその親会社がどういう処理をしたのか、また上記が「正解」なのかも定かではないですが(2か3で議論の余地ありかな、と)、上記通達の存在を知って少し腑に落ちました。

それにしても、プロ球団に限っては親会社からの赤字補填を寄附金ではなく、広告宣伝費として損金算入できるようにしているんですね…。

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ダイ

ダイ

1975年1月生まれ。スポーツを見るのもやるのも学ぶのも大好きな41歳。サッカーではGKからFWまで全ポジションに対応(もちろんアマチュアレベル(笑))。ボクシングではディフェンス重視のアウトボクサー。フルマラソンはサブ4。東京マラソンに10年連続ハズレ中…BlackBerryとOAKLEYサングラスを愛用。 公認会計士 税理士

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