バスケはアタマも大事!と教えてくれる選手

バスケットボールのような少人数(5人)のチームスポーツだと、選手個々の動きや働きがチーム全体に重要な影響を及ぼします。

サッカー(11人)やラグビー(15人)だと見えにくい、一人の選手の素晴らしい動きもおかしな挙動も、バスケットボールではけっこう見えてしまいます…。

そんなわけでチームスポーツの中でも、とりわけNBAではフィジカルだけでなく、選手のアタマ(以下、「IQ」と仮称します)が非常に重要だと感じます。非常に良いサンプルとして、2人の選手が挙がります。

question mark

「IQ」とは?

初めに、私の考える「IQ」について定義します。

これは、チームの戦術、選手のポジションや役割に応じた適切な動きができるかどうかの脳力、それと、試合の流れを読んで、それに応じた動きができるかどうかの脳力と考えています。アタマを使うので、敢えて「脳力」と書いています。
ひと言で言えば、「センス」でもあります。

早速、サンプルを挙げます。

ドワイト・ハワード

ハワードは現役ナンバーワンのセンターです。
211cmと、歴代の偉大なセンターに比べて背は低いのですが、持ち前のジャンプ力・走力・瞬発力・パワーが低身長だと感じさせません。

ジャンプをすれば、最高到達点はバックボードの一番上のところまで届くくらいで(380㎝ぐらい?)、ファストブレイク(速攻)でも遅れることなくダッシュして付いて行ってます。それに、ハワードは得点の半分近くがダンクだと言われているくらい、ダンクしまくりです(ジャンプショットが不得意とも言いますが……)。

ウェイトトレーニングもしっかり行っているようで、肩幅もガッシリしています。存在感がすごくあるので、背が低いようには見えません。体格・骨格の良さでは、歴代トップクラスでしょう。

そんなフィジカルに優れたハワードですが、どうも「IQ」が低そうです……。
オーランド・マジック時代は、アシスタントコーチのパトリック・ユーイングが付きっきりで指導していたこともあり、あまり目立ちませんでしたが、LAレイカーズに移籍してから「IQ」の低さが隠せなくなってしまいました。

セットオフェンスでは、ポジションをとる位置やスクリーンプレーをするかの判断に何度も迷っていましたし、ディフェンスでも相手への対応に明らかに遅れていました。リバウンドも、ポジショニングがイマイチで取れなかったことが多かったので、「こりゃダメなんじゃないかなぁ」と思ってしまいました。

案の定ダメだったようで(苦笑)、1年でヒューストン・ロケッツに移籍しました。
移籍当初は、スティーブ・ナッシュ、コービー・ブライアント、パウ・ガソルも揃って、凄いチームになったと思ったものですが、残念すぎる結果になりました(そして、それ以降レイカーズは残念なまま現在に至っています。もちろんハワード一人の問題ではないのですが)。

今のヒューストン・ロケッツでは、レイカーズよりはマシな働きをしていますが(HCのケビン・マクヘイルのおかげでしょうか?)、それでも「IQ」が高くなったような感じには見えません。フィジカルは相変わらず素晴らしいですが…

米国のメディアやコメンテーターもその辺は分かっているようです。
ハワード自身は取材で聞かれると「俺はアホじゃねえ!」と否定しています(笑)。

私はアホだとは思いません。ただ……

デニス・ロッドマン

引退して殿堂入りした名リバウンダーです。
外見や奇怪な行動の方が注目されがちですが、ハワードとは対照的に「IQ」の高い選手でした。

まず203cmという低身長なのに、歴代最高の「7年連続」でリバウンド王になったという事実が驚異です。しかも、2位以下の選手との差が圧倒的なのがミソです。

(※数字は1試合平均リバウンド数)
1991-92  ロッドマン 18.7 (2位:K・ウィリス   15.5)
1992-93  ロッドマン 18.3 (2位:S・オニール   13.9)
1993-94  ロッドマン 17.3 (2位:S・オニール   13.2)
1994-95  ロッドマン 16.8 (2位:D・ムトンボ   12.5)
1995-96  ロッドマン 14.9 (2位:D・ロビンソン  12.2)
1996-97  ロッドマン 16.1 (2位:D・ムトンボ   11.6)
1997-98  ロッドマン 15.0 (2位:J・ウィリアムズ  13.6)

2位の選手はほとんどがセンターで、しかもロッドマンよりも10cm前後背が高い選手です。
にもかかわらずロッドマンがリバウンド王になれた最大の要因は何かというと、あくなき研究と「IQ」の高さです。

ロッドマンは試合前のロッカールームでは、必ず対戦相手のビデオを見て、選手個々のシュートのクセ(失敗したらどこへボールがこぼれるか)を確認していました。そのため、試合では相手選手がシュートを打ったら、誰よりも早くボールが落ちる地点を予測してポジションをとっていたので、リバウンドを獲れたのです。また、味方選手のクセもしっかり理解してオフェンシブリバウンドを獲りまくっていたのは言うまでもありません。

ポジション取りで相手のセンターやパワーフォワードに負けない身体を日々作っていたのも有名です(いつも試合後にユニフォームを脱ぐと、すごい身体をしていました。タトゥーも凄かったですが(^^;))。しかし、背が低いロッドマンがフィジカルだけでリバウンドが獲れるわけはなく、研究に余念がなかったからこそリバウンド王になれたのです。

ロッドマンの場合、リバウンドだけではありません。戦術理解力も際立っていたそうです。
サンアントニオ・スパーズからシカゴ・ブルズに移籍した時、一番問題だったのは、

「ブルズのトライアングル・オフェンスに馴染めるか」

でした。
当時のブルズは、他のチームとは明らかに違うセットオフェンスをしていたので(トライアングル・オフェンス。説明すると長くなるので詳細割愛)、これを理解しないと、優れた選手でも活躍できないと言われていました。

しかし、ロッドマンは移籍して最初のシーズンの開幕戦(忘れもしない、シャーロット・ホーネッツ戦)から見事に順応していました。同じポジションで以前活躍していたホーレス・グラントよりも良い動きをしているようにさえ見えました。

ロッドマンの「IQ」の高さがシカゴ・ブルズの2度目の3連覇に大きく貢献したのは間違いないです。これも、考えながらプレーしていたことの賜物でしょう。

まとめ

フィジカルだけでも、バスケに限らずスポーツでは「いいところ」までは行けますが、「てっぺん」までとなると、フィジカルだけでというのは難しいです。

一瞬で競技が終わる瞬発系のスポーツでも、自身のアタマで考えてトレーニングし、考えてプレーしなければならないのだと思います。特に上記2人のプレーを比較して見ると、それがよく感じられます。

ハワードは非常に恵まれた身体を持っているし、まだ若いので、これから大化けしてほしいものです。

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ダイ

ダイ

1975年1月生まれ。スポーツを見るのもやるのも大好きな41歳。サッカーではGKからFWまで全ポジションに対応(もちろんアマチュアレベルで(笑))。ボクシングではディフェンス重視のアウトボクサー。フルマラソンはサブ4。東京マラソン10年連続ハズレ中…BlackBerryとOAKLEYサングラスを愛用。 公認会計士 税理士

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