「国歌斉唱90秒ルール」は誰のため?

W杯は決勝トーナメントに突入しています。

決勝トーナメント初戦でブラジルがPK戦までもつれこんだり、グループリーグよりも格段に熱くなりますし、どのチームも「負けたら即終了」なので、見ている側も手に力が入ります。

生中継を観戦していると、選手が入場したすぐ後に国歌斉唱が行われるのですが、今回からの「新ルール」に疑問を感じずにはいられませんでした。

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「国歌斉唱90秒ルール」

今回から国歌斉唱の「新ルール」として、「90秒ルール」が導入されています。
国歌斉唱の時間を、1か国当たり90秒以内とする、というものです。

何が問題かというと、国歌が前奏から終わりまでのフルコーラスでは90秒以内に終わらない国がいくつもあることです。そんな国の国歌斉唱の場合、90秒経過すると突然音楽が消えるわけではないのですが、90秒以内で終わるような「ショートバージョン」に編曲されています。

当然ですが、国歌斉唱する側は国歌の詞を口ずさんでいる途中で打ち切られた感じがして、違和感や不快感が多いでしょう。なんでこんなルールを設けたのか不思議に思います。

FIFA側の趣旨としては、選手がピッチに並んでからなるべく早く試合が開始できるように、ということのようです。

「だったら、中途半端に国歌を流すのを止めて、さっさと試合を始めたらいいのでは?」

と思うのです。

国歌斉唱が選手に与えるもの

選手にとって、国歌斉唱はどんな意味のあるものなのでしょう?

これは国・選手によってさまざまでしょう。
国歌で謳われている詞が選手の士気や一体感を高めるようなこともありますし、フランス国歌のようなケースもありうるでしょう。

ドイツのエジルのように、他国出身で宗教も違うので、国歌は歌わずに別の方法で士気を高めている選手もいますし…。

しかし見ていると、国歌斉唱は選手・関係者とサポーターとの一体感を高めて盛り上げる効果が絶大だと感じます。その証拠に、国歌斉唱時にはスタメンの選手もベンチも、肩を組んで国歌を歌っています。

(これは98年フランス大会のフランス代表が起源です。それ以前は選手同士で手をつなぐチームがいくつかあった程度でした)

それをわざわざ中途半端にぶつ切りにするのは、果たして選手のためなのかが疑問なのです。

見ていて感じる問題点

「別にそんなこと問題ないんじゃないの?」という意見もあるでしょうし、試合全体で見れば大きなことではないかもしれません。

ただ、今回見ていて、90秒ルールは国によってアンフェアになるのではないかとも感じました。

今大会の開催国ブラジルは、国歌がフルコーラスだと90秒では終わりません。
当然ルールに従ってショートバージョンにされているのですが、選手もサポーターも

「途中で打ち切るんじゃねえ!!全部歌わせろ!!」

とばかりに、演奏が終わった後もつづきを一緒になって歌ってフルコーラス歌い切ります。グループリーグから見ていましたが、スタジアムでの一体感がものすごく強くなり、間違いなく選手のテンションは上がるだろうなと感じました。日本人の自分が見ていても感動的です。

しかし、他方で90秒以内に国歌が完結する国は、そんな「テンション増幅効果」が享受できないのでは?と感じるのです。

これは各選手がどう捉えるか、によるのかもしれませんが、個人的に「う~ん」と感じました。

同時に、国歌が90秒以上かかる国でもアウェイの(またはサポーター数が圧倒的に少ない)場合は、どうなのかなあと感じました。テンションを上げてくれる場合と上げてくれない場合がそれぞれありそうに思います。

昨日のブラジル-チリのチリは前者でした。
チリからもそこそこの数のサポーターが来て一緒に国歌斉唱していましたが、90秒経って演奏が終わると、ブラジルサポーターから

「さっさとやめろぉぉぉぉ!!!!」

と言わんばかりに一斉にブーイングが起こりました。

「そんなにしなくても……」

と思ってしまうほど、激しいブーイングでした…。

しかし、それにめげずチリの選手もサポーターも大声で歌い続け、最後までしっかり歌い切っていました。これが結果的にチリの奮起を促して、ブラジルが大苦戦した要因の一つになっているかもしれません。

反対のケース(テンションが下がるケース)がこれからありうるのでは?と懸念しています。

要は、国歌斉唱の段階で「ホームコート・アドバンテージ」が発生してしまうのではないか、という懸念があるのです。

「甲子園方式」のススメ

「そもそもなんで試合前に国歌斉唱をするのか?」
「その意義から考えて、90秒で打ち切ってしまうのは合理的なのか?」

ここが疑問です。

国歌斉唱をが単なる「セレモニー」で、本当はあってもなくてもいいという位置づけならば、試合前に行わずに、勝ったチームだけ試合後に国歌斉唱できる「甲子園方式」を採用すればいいのでは?とも思います。

(※「甲子園方式」というのは、私が勝手に付けた呼称です。甲子園のように勝った高校だけが校歌斉唱できる、アレです。)

対戦両国の敬意を払うとか健闘を誓い合うとか、そういう意味合いのものであれば、90秒で打ち切るというのはあまりに失礼だと思いますし、疑問でしかありません。

その辺、どうなんでしょうね。

【7月2日補足】
昨日、ギリシャ国歌が158番まであって、全部歌おうとすると1時間以上かかるということを知りました…(汗)。
こんな場合、さすがに全部歌うわけにはいかないでしょうし(^^;)、ギリシャ国民も全部歌える人はほとんどいないそうなので、国際試合で従来行われていた国歌斉唱と同じ程度の長さでいいんじゃないかなと思いました。

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ダイ

ダイ

1975年1月生まれ。スポーツを見るのもやるのも大好きな41歳。サッカーではGKからFWまで全ポジションに対応(もちろんアマチュアレベルで(笑))。ボクシングではディフェンス重視のアウトボクサー。フルマラソンはサブ4。東京マラソン10年連続ハズレ中…BlackBerryとOAKLEYサングラスを愛用。 公認会計士 税理士

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