やっぱりよく分からない…「日本版IFRS」

先日、日本版IFRSに関するこんな記事が出ていました。

「日本版」はIFRSと認めず 国際会計基準審

日本版IFRSに対しては全くの同意見だったので(ネット用語で言うところの「禿同」)、思ったことを整理してみました。

「日本版IFRS」の第一印象

「日本版IFRS」という言葉に初めて出くわしたのは、約1年前でした。
その時の第一印象は

「なんじゃそれ?」

でした(笑)
どんな基準でもルールでも「日本版」と書いてしまえば、それは「日本基準」「日本ルール」でしかないのでは?と思うのです。

例えば、バスケットボールでは「インターナショナルルール」と「NBAルール」でルール間の差異がいろいろあるのが有名ですが(近年だいぶ近づいています)、近づいたからといって「NBA版インターナショナルルール」なんていう名称だと、かえってよく分からなくなると思います。やっぱりその国でのみ理解される・通じるルールならば、「○○基準」、「○○ルール」とするしかないのではないかと思うのです。

question mark

疑問

「日本版IFRS」に対しては、疑問がいくつかあります。

メリットはあるのか?

「日本版」を適用するメリットがあるのかどうかがよく分かりません。まだ基準が出来上がっていないので何とも言えませんが、純然たるIFRS(以下、「純IFRS」)を適用した場合に比べて会計処理や開示レベルに重要な違いがあれば、諸外国に「日本企業もIFRSを適用してまーす♪」とアピールしても通じないのではないかと思うのです。

むしろ「IFRS」という言葉を使うことによって、かつての「レジェンド問題」を復活させてしまうのではないかとさえ思うのです。

その場合、大手グローバル企業が「日本版IFRS」を適用するメリットは無さそうに思います。多分「純IFRS」を適用するでしょう。

どんな会社が適用するのか?

日本でIFRSを適用するかしないかという話が出てきた時、まず適用対象として想定されていたのは有報提出会社でした。公開会社のみが対象となるなら、それほど問題ないだろうと思いました。欧米企業でも、公開会社のみが適用対象となっている国は多いようです(公開会社はIFRS、非公開会社は現地基準、という具合です)。

しかし、「日本版IFRS」となると話は別です。どんな会社が適用するのでしょう?前述のように大手のグローバル企業やグローバル意識の高い会社には「日本版IFRS」を適用するメリットはなさそうに思いますし、おそらく米国基準を適用していた時と同じように純IFRSを適用するでしょう。

「日本版は日本がIFRSの任意適用を促進するために存在するという位置付け」との認識のようですが、「日本版IFRS」を適用したところで「所詮、日本版じゃん…」という冷笑の対象になるのではないかと思うのですが……。

基準改定は柔軟に行われるのか?

米国基準もそうですが、IFRSも毎年のように何かしらの基準改定があります。ドラスティックな変更はそんなにありませんが、新基準が追加されたり、一部用語や文言が修正されたり、というのはよくあります。

「日本版IFRS」を作った時に、そういう純IFRSでの基準改定・追加に対して柔軟に対応できるのかどうか、という疑問があります。もしその辺の柔軟性が低いようだと、それこそ純IFRSとの基準差が大きくなっていかないかという懸念があります。

「J-SOX」みたいにならないかという懸念

米国のSOX法監査(以下、US-SOX)に倣って「J-SOX」が制度化されたのは記憶に新しいですが、ルールの違いがいろいろあったために適用当初は大変でした。まずUS-SOXとの違いを理解しなければなりませんでした。そして、理解したうえで、それを海外子会社の関係者、監査人に理解してもらわなければなりませんでした。海外の関係者からすれば「J-SOX?なんだそれ?」だったわけですから。

もしも「日本版」に純IFRSとの明らかな差異があるならば、同じように違いを理解して海外子会社およびその監査人に説明しなければならなくなるでしょう。なければ良いですが…。

まとめ

やっぱり今のところ、私には意図が分からず、効果もいま一つ見えません…。

IFRSを適用するのなら、シンプルに純IFRSで良いのではないか、と思うのですが。中小企業に強制することはないでしょうし、大企業なら中途半端に日本版を作るより、純IFRSを適用する方が、IFRSを適用するそもそもの目的に適うのではないかと思います。

「なんちゃって国際基準」では意味がないと思います。

そもそも「日本版 国際財務報告基準(IFRS)」っていう言葉もヘンですし。

「日本版 国際」って……(苦笑)。

英語にするとどうなるのでしょう?

”Japanese IFRS”???

”IFRS generally accepted (only) in Japan”???

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ダイ

ダイ

1975年1月生まれ。スポーツを見るのもやるのも学ぶのも大好きな41歳。サッカーではGKからFWまで全ポジションに対応(もちろんアマチュアレベル(笑))。ボクシングではディフェンス重視のアウトボクサー。フルマラソンはサブ4。東京マラソンに10年連続ハズレ中…BlackBerryとOAKLEYサングラスを愛用。 公認会計士 税理士

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